近年、多くの製品にコンピュータが組み込まれ、その故障や不具合によって、思いもかけない危険が人に迫って来るようになりました。物を設計するときは、人間に危害を及ぼすような危険源のない製品とすることを最初に考える必要があり、これを「本質安全」といいます。しかし、全ての製品に対して本質安全を設計することは不可能で、制御系を中心とする安全系等によって、一定の安全を確保する設計思想を「機能安全」と言います。
1998年のIEC 61508制定によって、マイコンやソフトウェアを使って機能安全を実現することが可能になり、組込みシステムでの安全性が議論されることが増えてきました。
今回5回連続の「機能安全シリーズ」として特別セミナーを企画し、第2回となる今回は、自動車の機能安全の最新動向および機能安全製品の安全評価と認証等について、最先端の現場より講師をお招きし、ご説明いただきました。
会場はほぼ満席の状況で、活気のあるセミナーになりました。
<講演内容>
◆「IEC 61508(機能安全規格)認証製品説明」
講師 宮脇 信芳 氏(株式会社ジェイテクト)
宮脇様は、日本初のIEC 61508準拠安全PLC「TOYOPUC-PCS」の開発・認証に成功したご経歴を背景に、産業機械の機能安全規格について、お話しくださいました。マイコンを備えたプログラマブル電子制御システムの機能安全規格であるIEC61508に関する詳しい解説に加え、安全先進国(地域)のヨーロッパを中心に策定された、IEC 61508以前の規格や策定の流れ、違いなどについてもご説明いただきました。交通信号や“檻に入ったトラ”などの親しみの湧くたとえ話やフローチャートを多用した、リスク低減や安全制御などの考え方のご説明は、とてもわかりやすかったです。IEC 61508は、自動車エレクトロニクスの機能安全規格ISO 26262のベースとなる規格で、次のセッションを理解する上でも有益な知識や考え方をご教示いただいたと思います。
◆自動車の機能安全最新動向と対応「ISO 26262 最新状況とその解釈」
講師 山下 修平 氏(日産自動車株式会社)
山下様は、ISO 26262を立案・策定するISO/TC22/SC3/WG16作業委員会メンバーとしてのお立場より、自動車エレクトロニクスの機能安全規格ISO 26262について、ご説明くださいました。ISO 26262の策定経緯や位置づけ、対象とするシステム・事象やISO 61508との違いといった全体像の解説に続き、当規格での重要な要素であるASILの考え方や付与ルールなどについてご説明いただきました。丁寧に整理づけられた詳しい解説は、今後ISO 26262に関わる方にとって、開発現場で有用な知識とノウハウになったのではないかと思います。
セミナー時間終了後も、次々と質問が続き、本テーマへの関心の高さがうかがえました。
次回「機能安全シリーズ」の第3回は、10月16日(金)に「原子力分野の動向とソフトウェアの事例」をテーマに開催いたします。みなさまのご参加をお待ちしております。
