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20周年記念特別座談会
これからの業界の人材育成を語る

成長著しいこの業界にとって、人材育成は年々重要性を増してきている問題だ。今回は、JASA会員企業の中で技術、企画、営業、管理の各部門から若手・中堅の4人をお招きし、これからの業界にとって必要な人づくりについてざっくばらんに語っていただいた。

出席者(社名五十音順)

イーソル株式会社 エンベデッドプロダクツ事業部 技術部 ミドルウェアグループ
立田 純一 氏

株式会社エヌデーデー 総務部 部長
村上 典弘 氏

東電ユークエスト株式会社 営業本部 営業企画部 課長
冨岡 理 氏

横河ディジタルコンピュータ株式会社 企画室長
北村 晃 氏


■人材採用、どこに悩むか

─まずは簡単な自己紹介からお願いします。

北村:入社14年目で、当初の9年間は営業部門で直販の立ち上げなどに携わり、その後自社製品の製造委託先であったグループ内工場の生産管理などを経て、現在は企画室で展示会の運営から広報・マーコム全般までを含めた全社的な活動をしています。

立田:私は、入社当初は受託開発をしていましたが、その後、自社製品を開発する事業部への異動を希望して、カーネルチームでリアルタイムOSのカーネルを開発しています。どちらかというと研究開発的な仕事がメインです。

村上:もともと総務部の企画課に所属し、その延長線上で、採用・人事から教育、広報までの幅広い業務をカバーしています。このところ、人事制度も含めた全社的な改革に取り組んでいるところですが、特に今年は有効求人倍率がバブル期(91年)に次ぐ水準となり、現在はこれに注力しているところです。

冨岡:私も北村さんと同じ、入社14年です。当社は神戸製鋼所の新事業部門が2003年に分社し、東京電力に事業譲渡して設立された企業で、社員は、神戸製鋼所に入社した人間と、89年に発足した新規事業分野の即戦力として中途採用された人間、東電ユークエストになってから入ってきた人間の大きく3つに分類されます。私の仕事は、数字を求められる営業をやりながら広告宣伝などを主とした営業企画を兼任するという形です。

─皆さん、人材採用についてどんな課題や悩みをお持ちですか。

北村:人事担当者と話をすると、バブル期以来の売り手市場と言いながらなかなかいい人材が来ないのは、やはり大手志向が強いからではないかという話題になります。ほかに、入社する企業を決めるのに「親から言われて…」と親の意見に従う学生が最近は多いという話も出ます。

村上:たとえ小さな会社でも大手の関連というだけで持って行かれるケースが多いですね。いかに独自性を打ち出していくかが重要だと思って頑張っていますが、親の意見であっさり他社に決めたりするケースがあります。

冨岡:我々の頃は親に相談なんかしなかったですよね。自分のやりたいことより会社の名前が優先するというのは、やはり最近の傾向ではないかなという気がするのですが。

村上:一時期、優秀な学生が大手企業を避けた時代もありましたけどね。

立田:私はちょうど、就職が最も冬の時代でしたから(笑)、大手企業では先が見えているからと親の反対を押し切ってベンチャー企業に入る人も多かったように思います。私自身、会社に残っていく若い社員を見ると、やはりそういうタイプの人間ではないかと思うんです。

─実際に採用した人材に対してはどんな工夫をされていますか。

北村:研修を通じて、当初希望した以外の職種に興味を持ってもらえるケースもありますから、まず環境づくりが大切ですね。

冨岡:結局はOJTですね。

村上:昨年から今年にかけて中途を10名程度採用しており、30歳前後が多いのですが、みんな以前働いていた会社への帰属意識がないという点が共通しています。客先に派遣されて常駐していたため愛社精神も持ちにくい、というケースが多いようです。組込み業界はどうですか。

冨岡:客先にいる時間のほうが圧倒的に長い業務ではそうでしょうね。お客様の仕事に帰属意識を持たれたら、二度と戻って来ないですもんね(笑)。

立田:そうですね。私のところも同じ悩みを抱えています。自分の会社に接する機会が少なすぎると、少しでも給料の多いところへという発想も生まれてしまうのでしょう。

村上:会社が確固たるソリューションを持っていて、チームでそれを活かしていけることが帰属意識を持ってもらうポイントではないでしょうか。私も社員の帰属意識は重要だと考えており、昔ながらの社内報づくりに力を入れるなどさまざまな工夫をしています。

北村:社外で仕事をするメンバーは外のいろんなことを見聞きして帰ってくる。その結果、会社に見切りをつけてしまうのか、あるいは逆に自分の会社をよくしていこうという気持ちを持つのか。

村上:会社のために何かをやろう、会社をよくしていこうという気持ちを持っている人は大切ですよね。採用の際、会社の考えにいかに共感してくれるかは大きなポイントになります。

冨岡:会社としての明確な方針や夢があり、さらに自社製品など技術的なよりどころがあれば、客先に技術派遣されても自社に誇りを持って仕事ができる。我々のほうもそういうしっかりしたものを持たなければならないということですね。

村上:若手技術者に対し、将来自分がどうなっていくかを明示できるかどうかも重要だと考えていますが、明確なキャリアパスを持つことを含め、なかなか難しいことです。

立田:開発の現場は、納期前は本当に大変ですが、でもみんなで頑張ったことの達成感が得られることも見逃せないと思います。

村上:達成感というのはすごく大事ですね。すごく辛い仕事があったあとにいかに彼らに達成感を与えられるかどうか。

北村:そうなるとお客様の声が大きいですよね。ただ、それを直接聞けるのは営業担当者だけだったりします。私のところでは、お客様から感謝のメールが来たら、それを部署内に回覧してみんなで達成感を共有するなどの工夫をしています。

村上:そういうきめ細かいことができる上司がたくさんいると人材も育ちますね。

■伸びる社員の共通の特徴は何か

─こういう新人は伸びるな、というのはどういうところで判断していますか。

北村:よく喋る人間かどうかはかなりポイントになります。無駄口を叩くというのではなく、いろんなコミュニケーションがとれるということです。

村上:当社もそうですよ。最近、よく話せる学生が減っていますね。

北村:普通の面接ではなかなか分かりませんから、グループ討論など工夫していますが、実はそういうことについても対策マニュアルがあるようで(笑)、それならば、バーベキューをやってみてはどうかなど、いろんなことを考えてやっています。

村上:現場からは「よく喋れて元気のある人間を寄越せ」と言われるんですが、そういう人間は少ないし、なかなか育てられないですね。当社では近く、社員の半分にビジネスマナー教育を徹底してやる予定です。ビジネスマナーをきちんと教えることで少しでも自信が持ててコミュニケーションの活性化に繋がれば、と考えています。

北村:そうですね。きっかけがあればまだまだ伸びるという人も少なくないと思います。

村上:最近は、特定の伸びそうな社員だけにお金をかけたりすることもしています。

冨岡:村上さんの会社でもやっているんですか。

村上:一部やっています。情報処理のソフトウェアの資格を持っている社員には、部門でなく全社予算で教育費を援助しています。

─いい人材を育てるためには、こちらからのさまざまな工夫が必要だということですね。

立田:私自身は技術者ですが、でも人を育てなければ仕事になりません。ただ、私の中では、人材を育成するスキルを磨こうというよりは、技術力を磨こうというモチベーションのほうが遙かに高いんです。ですから、私は教育のエキスパートにはなり得ないと思います。

村上:それでいいような気がします。そういう立田さんを見て後輩が育っていくのではないですか。

立田:そうなってくれればありがたいですね(笑)。でも、結果的に伸びる人間というのはどんな上司の下でも伸びるんでしょうけど。

村上:上司によって伸びるスピードは違うと思いますよ。

冨岡:育てられる側もさまざまであるように、教える側も人に依ると思います。あとは、上司のほうでも人を育てることを楽しめるかどうかですね。

─ほかに伸びるための条件みたいなものはありますか。

北村:自分たちが作っているものをお客さんがどのように使っているかを知ることは伸びることにすごく関係してくるのではないでしょうか。

村上:それは大事ですよね。

北村:結局は現場を知るということなんでしょう。技術者が営業と一緒に外に出てお客様とコミュニケーションをとることはとても重要だと思います。また、展示会などでも、技術者がお客様の生の声を直接聞くようにしたほうがいいのではないでしょうか。

村上:現場というのは伸びる要素がたくさんあります。いいものが出来上がってお客様に感謝されるというのは現場ならではの利点ですね。

冨岡:営業の仕事というのは、対お客様だけでなく社内の技術担当者とのコミュニケーションだったりもしますよね。お客様の言うことを100%持ち帰る営業は、技術から信用を得られない。ある程度コントロールしてくれて、技術にも「こっちもこれだけ譲歩したんだから、そちちも譲ってよ」という営業なら技術も耳を傾けてくれる。それもコミュニケーション能力だと思うんですが、これは教えるのも難しいし、できない人にいくら教えてもできません。

 ■異動は損か得か
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