Bulletin JASA

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JASAビッグバンを仕掛ける会員倍増計画

横河ディジタルコンピュータ株式会社
代表取締役社長 小林龍雄氏


創立20周年を迎えたJASAでは、協会名の変更、事業部制の導入など、さまざまな改革に取り組んでいるが、中でも改革の本丸と位置づけられているのが「会員増強」だ。その旗振り役としての手腕が期待されている小林龍雄・横河ディジタルコンピュータ株式会社代表取締役社長に、「会員増強委員会委員長」としての抱負、意気込み、および、これからの組込み業界に向けた提言などをうかがった。


−業界の実質が「システムハウス」から「組込み」に変容しました。
それに伴って実施されるJASA改革の本丸は「会員数の増強」だと見られています。

小林社長:JASAは毎年、組込み総合技術展(Embedded Technology:ET)を開催して、300社を超える出典企業に恵まれてきました。そのため、対外的には大きな組織と認識されているかもしれませんが、JASAの実際の会員数はおよそ150社で、しかもほとんどが小規模企業です。これではJASAが標榜する「組込み技術」の実質を反映しているとはいえません。残念ながら、日本のモノづくり産業の根幹を支えている「組込み技術」を持つ企業の大半は、JASAに加入していないというのが実態なのです。

−JASAを実質を伴う組織に改革していくための課題は何でしょうか。

小林社長:組込み技術を持つ企業は数千社、組込み技術に関わる技術者は、数百万人にのぼると思われますが、組込み技術は業種を横断して存在しているという特殊性があります。これを束ねるためには、別々の業界の、個別の企業の、名前も機能も異なる部署に存在している技術者を、有機的に結び付けていく必要がある。それは非常に難しいと思いますが、それこそがJASAの果たすべき役割だと考えています。今後は業界の枠や企業規模の大小を超えたアプローチを行なって、生まれ変わった「組込み技術協会」、すなわち「新生JASA」の名にふさわしい内容を伴った組織に育成していかなければなりません。

−具体的な会員増強のイメージを教えてください。

小林社長:JASAの実質会員数は発足時がいちばん多く、2年ぐらい前に底を打ったという感じの150社。そこでまず、現会員の1社が1社を勧誘すれば300社になる。同じように300社が各1社を誘えば600社で、その次の段階では1200社。1+1=2という当たり前の足し算をしていけばいい。1社平均80〜100人規模と考えれば、10万人前後の技術者団体として活動することができます

−この数字を実現するためには、どんな方策が考えられますか。

小林社長:会員数を増やすことは、最初の入口の問題ですから、入会金、会費体系の見直しなども必要になると思います。ポイント制や報奨金などのインセンティブの付与が、有効に作用するケースもあるでしょう。いずれにしても人を動かすには、制度を変える必要があると考えています。
それから勧誘時に必ず訊かれるのが、「加入するとどんなメリットがあるのか」ということです。これは社団法人の宿命ともいえますが、社会に貢献することで会員企業自身が発展するという仕組みを、会員自らが構築していくという、能動的な活動に求めざるを得ません。そのためには、頂く会費は会員の活動のために使われるものだという認識を周知させ、協会事業への積極的な参加を促す努力が欠かせないと思います。

−その場合、魅力的な協会事業の企画、立案が必要になりますね。

小林社長:その通りです。すでにJASA改革の一環として、複数のワーキング・グループが立ち上がっています。これらは個々の会員による自主的な研究会組織であり、協会事務局は会場の確保や、適切な講師の選任などの支援を行うことにしています。
たとえば「組込み技術とセキュリティ」に関する「セキュリティ研究会」は、非常に重要で発展性のあるテーマです。スタート時の構成員は14名でしたが、将来的には単なる情報収集の場から情報を発信する場に、さらに組込み業界以外の研究者や技術者とも議論ができる場に成長するものと期待しています。そうしたワーキング・グループの成果を協会レポートとして出版し、売上金を会員に還元するような仕組みも必要になるでしょう。

−そうなると、会員企業だけでなく、個人の力や意欲の影響も大きくなりますね。

小林社長:現在の産業界では、製品の物理面ばかりが注目されていて、組込み技術に関する評価が低い。特に組込み開発者の貢献度に対する評価は、不当に低いと感じています。JASAへの加入は企業単位が前提ですが、組織を動かすのは「人」で、実際には個人の能力や意欲に依存せざるを得ません。
JASAは組込み技術者の自覚を促し、能力を伸ばす支援を実施すると同時に、個々の組込み技術者にもっとスポットライトが当たるよう、産業界の仕組みを変えていく立場にあると思います。

−では、組込み技術者に必要な資質とはどのようなものでしょうか。

小林社長:組込み技術者に限らず、技術者一般にいえることですが、コミュニケーション能力と能動性だと思います。ひとつ前の世代は全般に関する知識を持っていましたが、技術革新のスピードが上がり、専門が細分化された現在では、すべての知識を一人で網羅することは不可能です。だから、すべての作業はチームワークで行われる。そのためのコミュニケーション能力や、疑問や課題を自主的に解決していく、何事にも常に能動的に対処していくという資質は重要です。

−昨今は人材不足といわれていますが、何か解決策はありますか。

小林社長:組込み技術に関していえば、関係する全社が人材不足を懸念していると思います。ただしそれは社員の絶対数ではなく、上層の技術者という意味です。
横河ディジタルコンピュータ鰍フ社員数は180名程度ですが、横河グループの一員としての教育システムを利用できる。先ほど述べたようなコミュニケーション能力や能動さえ備えていれば、技術レベルを高める教育は可能です。しかし、中小企業の人材育成は、資金面や時間面の制約から、限定的なものにならざるを得ません。
そこでJASAの内部に大手が人材教育面で中小を助ける仕組みを作り、加入のメリットの一つとしてアピールしたい。大手企業の教材、教本、講師、ノウハウなどを、JASAを通じて中小企業に提供する。中小企業が育つことで組込みの底辺が上がり、全体の発展にも貢献できると思います。

−これは余談ですが、小林社長はいろいろな趣味をお持ちとか?

小林社長:私は新潟の村上出身で、趣味といえばスキー。これまでに社内だけでも25人の指導員を養成しましたよ。ピアノやバイオリンを弾くのも好きで、年に数回はクラシックコンサートに行きます。最近は晴耕雨読を理想としているため、庭の手入れも私の役目。ゴルフはようやく昨年の5月から始めたばかりです。料理も大好きで、ホームパーティーなどをよく開きますが、これは「趣味」ではなくて「特技」です(笑)。

−最後に抱負をお願いします。

小林社長:会員増強の第一歩は個々の会員が変わること。「ビッグバン」並みの変革を遂げて、20周年の節目の年を、JASAがブレイクする再出発の年となるよう、いろいろと知恵を絞っていきたいと思います。

−本日はありがとうございました。


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