社団法人 トロン協会
(社)トロン協会では、毎年1回、組込みシステムにおけるリアルタイムOSの利用動向に関するアンケート調査を実施している。このたび、JASAが2005年11月に主催したEmbedded Technology 2005で実施したアンケート調査の結果が報告書にまとめられた。その内容を抜粋・要約して紹介する。
1. 最近開発した組込みシステムについて
実施したアンケート調査は、組込みシステム開発の現状とリアルタイムOSの問題点や選択基準、ITRON仕様OSの利用動向とユーザによる評価、OSに求める機能などを調査したもの。トロン協会では、同様のアンケート調査を1996年度から実施しており、今回が10回目となる。今回のアンケート調査は、JASA主催のEmbedded Technology2005(2005年11月16日〜18日)会場で実施したもので、有効回答者数は566人であった。今回からパソコンによるアンケートを実施し、例年の約1.5倍の有効回答者数となっている。回答者の職種は、設計・開発・研究が80%である(図1)。
まず、アンケート回答者ないしは回答者の所属する会社が直近に開発した組込みシステムについて、アプリケーション分野、使用したプロセッサの種別、プログラムサイズ、使用したプログラミング言語、組み込んだOS(製品名)、組み込んだOSで使用したAPI、今後採用予定のAPIについて質問した。
開発した機器の分野は、工業制御/FA機器、AV機器、通信機器(端末)、運輸機器の4分野で50%近くを占めている(図2)。
組込みシステムに使用したプロセッサの調査結果では、使用されたプロセッサの系列は、SuperHが34%と最も多い。続いてARM系とH8系となっている(図3)。

システムのプログラムサイズは図4のとおりである。また、これについて1996年から2005年までの10年間の調査結果を比較すると、プログラムサイズが64KB未満および64KB〜256KB未満のシステムが減少する傾向にある。1MB以上の部分ではわずかずつではあるが増加の傾向にある。64KB〜1MBまでのシステムは約半数を占め、割合はそれほど変わっていない(図5)。

組込みシステムの開発に主に使用したプログラミング言語は図6のとおり。昨年度の調査結果と比較するとC言語が78%から83%へと増加し、アセンブリ言語が減少している。また、使用した言語開発環境は図7のとおりである。昨年度の調査結果と比較すると、CPUメーカ製が51%から43%へと減少し、GCC(GNUコンパイラ)が14%から22%へと増加している。

組込みシステムに組み込んだOSは昨年度の調査結果と比較し大きな変化はない(図8)。システムに組み込んだOSのAPI(最も多く利用したAPIの回答者数を集計)では、TRON仕様系OSの比率が50%以上を維持しており、また、Win32APIが増加している(図9)。
組み込んだOSのAPIについて1999年から2005年までの7年間の調査結果を比較したのが図10である。ITRON仕様APIを含むトロン系APIは約50%を占めており、第2グループとしてPOSIX/UNIX系API、Win32系APIが続き、その他のAPIについては減少の傾向にある。

アプリケーション分野・プログラムサイズ別の組込みOSのAPIについても調査した。ここでは、組込みシステムに組み込んだOSのAPIを「TRON仕様系API」「POSIX&UNIX系」「WIN32」「その他OSのAPI」の4つに括り、アプリケーション分野別、プログラムサイズ別にその傾向を見た(図11、12)。なお、「TRON仕様系OS」にはJTRON仕様OS、T-Kernelを含めてあり、「その他OSのAPI」は、ITRON仕様API、JTRON仕様API、T-Kernel、POSIX & UNIX 系WIN32以外のAPIのことである。

2. リアルタイムOSの問題点と選択基準
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