第4回「JASAグローバルフォーラム2013」(Bulletin JASA vol.49掲載分)

~組込み関連企業が各国の状況やオポチュニティを知る~

TDIプロダクト
ソリューション株式会社

浅川 詩保子

開催報告

JASA国際委員会では11月に開催されたET2013(Embedded Technology 2013)の併設セミナーとして「JASAグローバルフォーラム2013」を実施しました。今年で4回目の開催ですが、例年中国を中心とした講演内容が多かった中で、今年は中国を取り巻くアジア各国に焦点を移し、各国事情に詳しい方々の講演をお願いしました。また初めての試みとして、講演いただいた皆様によるパネルディスカッションを行い、聞きに来られた方々が各国の状況をより深く比較し知る事が出来るよう、工夫しました。

講演内容は以下のプログラムで進められました。それぞれ印象に残ったお言葉や強調された事を簡単に付け加えます。

~開会あいさつ~

JASA国際委員会 委員長 廣田 豊

JASA会員企業様向けのアンケート調査で、オフショア先としてASEANの新しい地域に興味が有ることが分かった。

今回は、ベトナム、ミャンマー、インドネシア、フィリピンに精通されている方々に、各国の紹介、オフショア開発の課題等について、ご講演をお願いしました。「わが社はどの国に進出すべきか」をご自身で考察していただけたら幸いです。

~講演~

1.ベトナム

「組込みソフト開発のアウトソーシングについて」

ベトナム タンロン技術学院 学長 フィン・ムイ 氏

組込みソフトウェアに関しては正直言ってまだ実践経験は乏しい。しかし大げさに教育から始めるのでなく、長い目でまずは簡単なものからやらせてみる方針で行くと良い。勤勉で親日的なベトナム人は、経験と共に技術レベルは高まって行き、きっと役に立つ人材に育つ。

2.インドネシア

「組込み技術者のスキルと業務」

ジョブストリート・アセアンビジネスコンサルティング(株)
代表取締役 菱垣 雄介 氏

趣味の世界でFPGAを使った模型を作るなど組込み技術について興味を持つ若者は多く、「動かせるものを作る」素養が高い人々は居る。しかし日本企業からの発注は少なく業務機会がない。これからエンジン開発、航空機開発など国内産業としてやる機運が高まっており、そのような中で組込みソフト技術者の重要度も増してゆくと思われる。

3.ミャンマー

「ミャンマーのご紹介」

Myanmar  ICT  Development  Co.,Ltd.
Vice Chairman アゥン ゾー ミン 氏

民主主義、マスコミの自由、民営化・自由化、国民のための法律・ルール改善 等々、最近のミャンマーは大きくチェンジした。またICTについては、政府(e-Government)、金融(e-Commerce)、教育(e-Education)等々、この数年急速に発展している。(各種統計データを示しながら説明)とは言えまだまだ遅れている国であり、日本とは強い信頼関係のもとに、技術ノウハウ、品質意識、仕事の倫理観 等を学べる良いパートナーである事を期待している。

4.フィリピン

「VIPとして注目されるフィリピンの近況とその活用」

ASJ(株) 代表取締役 神田 茂

最近は従来の製造業のみならず、所得水準向上に伴う、サービス産業の進出が目立ってきている。(日本からはユニクロ、ファミリーマート、レストラン等)国内産業としてはBPM(ビジネス プロセス マネージメント)事業が急成長している。その中でもコールセンターは、インドを抜いて世界一となった。

~パネル デスカッション~

「わが社はどの国に進出すべきか」

モデレータ グローバル・エグゼクティブ・コンサルティング
代表 根塚 眞太郎 氏

パネリスト 上記講演者 4名

モデレータ根塚氏や会場からの質問に、パネリストが答え議論をする形式で、各国の興味あるお話を聞けました。以下各パネリストの一言メモです。

・ベトナム・・・・・とにかく一緒に始めよう、始めれば長続きする

・インドネシア・・・道路交通、鉄道、通信等社会インフラニーズは急速に高まっている

・ミャンマー・・・・ICTと共に、農業、観光にも力を入れている(産業の50%は農業)

・フィリピン・・・・英語ができる強みをうまく使おう(ex.アメリカのお客の仕事)

以上、フォーラムの概要報告です。

今回は、中国以外をテーマにすると言う事で、適切な講演者探しも例年になく難しい所がありました。またパネルディスカッションも初めてで、メンバーのお一人だけが通訳付きという特殊な状況になり、モデレータの根塚氏には大変ご苦労をおかけしました。今までにない意欲的な挑戦でしたが、関係者皆様のご協力のおかげで、無事成功裏に終える事が出来たと思います。反省点も多々ありますがこれを活かし、更に来年度はより良いフォーラムを企画したいと思います。